今週のお題「2010年私の漢字一文字」

早いもので今週で2010年も終わりです。

私にとって2010年最大の出来事といえば、2歳の娘が入院したことでした。

それまで一日たりとも私(母親)と離れて眠ったことなどなかった娘にとって、入院はどんなにかつらい経験だったろうと思います。

入院した次の日の朝、私が彼女のいる病室の近くまで来ると、看護婦さんとお話をしている彼女の声が聞こえました。わたしは廊下で立ち止まってしばらく聞いていました。笑い声すら聞こえてきます。人見知りの激しい彼女ですが、ずいぶんたくましくなったなあと感心していました。

ところが、看護婦さんと入れ違いにわたしが病室に入っていくと、彼女は私の顔を見た瞬間、堰を切ったようにわぁわぁと泣き出しました。

ほんとうは寂しくて不安で仕方がないのに、ひと前ではそれを見せまいとして頑張っていたんだなあと思うと、わたしも涙が止まらなくなりました。ぎゅっと抱きしめ合って、しばらくふたりで泣いていました。

毎日いっしょにいると、子の成長というのに気付かないものです。それまではずっと、本能にしたがって笑ったり泣いたりしているだけの、ただの我が儘な存在だとばかり思っていました。

彼女はきっと、入院の日から永遠に私たち(親)に会えないとしても、どうにか客観的にはたくましく生きて大人になるはずです。

親はなくとも子は育つ、は真実だと思いました。

ただ、そうすると、私の姿を見て涙が溢れ出したあの感情は、どこへ行ってしまうのか? どこへも行くことができずに彼女の無意識をずっとさまようのか?

いずれにしても、このことがあってから、親の役割、親が子にしてやれること、それは何も特別なことではないのではないかと思うようになりました。

親が子の声の届くところ、手の触れられるところにいつも存在し、ときに抱きしめ、ときに涙を拭いてあげる、それで充分ではないかと。

ということで、2010年私の漢字一文字は、在る、の「在」です。